Corona: Tokyo Realization (2006/Jim O'Rourke)

Morton Feldmanが考案し、後に"偶然性の音楽"や"不確定性の音楽"を生み出すきっかけとなった「図形譜」。
1962年に武満徹が作曲した「ピアニストのためのコロナ」を、ジム・オルークが再構築し、ミックスダウンまで手掛けた作品。
2ヴァージョン収録されており、同じ図形譜ながら、全く異なる解釈で演奏される。
プリペアド・ピアノのノイズが、低いドローンの合間を劈く。不安、緊張、覚醒。

【図形譜】
五線譜では表現しきれない新しい音楽を創造する手段として、あるいは既成の概念を打ち壊す作業の一環として現代音楽作曲家が競って図形譜による作曲を試みた。
ジョン・ケージなどによる偶然性が関与する「不確定性の音楽」あるいは、伝統的な西洋音楽の価値観を覆す偶然性を音楽に用いる手段ともされた。
図形や、文字、絵画なども使用され、ときには旧来の音符や五線譜も使われる。線が複雑に交錯したり、ときには時の経過も左から右と限ったわけでなく、あるいは天地左右もなく自由自在に書かれる。
このため、演奏家の解釈により2度と同じものにはならない場合が多く、即興性が高くなる。また楽器の使用も指定されないものもある。